【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
「ドライヤー、使う?」
「いや、俺はいい——」
そう言いかけた黒瀬の前に、有紀がドライヤーを持って座り込む。
「はい、こっち向いて。濡れたままだと風邪引くよ」
「……俺、髪短いんだけど」
「関係ない。それに、人にかけてもらうの、気持ちよくない?」
「……まあ…いいけど」
そう言いながらも、黒瀬は素直に背を向ける。
スイッチを入れると、ふわっと温風が広がり、彼の髪が軽く揺れた。
指で優しくとかすようにしながら、風をあてる。
黒瀬は黙ってされるがままになっていたが、途中、ふとぽつりと呟いた。
「……なんか、こういうのいいな」
「え?」
「髪とか、乾かしてもらうの。……こういうの、してもらったことねーかも。」
その何気ない言葉に、有紀の指先がぴたりと止まる。
けれど何も言わず、もう一度そっと風をあてた。
「──じゃあ、次は交代。」
ドライヤーをオフにすると、黒瀬がふいに振り返り、有紀の手からドライヤーを奪う。
「えっ、わたしはいいよ自分で──」
「俺にもかけさせろよ」
そう言って有紀の後ろに回る。
あたたかい風と一緒に、優しい指先が髪に触れた。
「……気持ちいい」
思わず漏れた声に、黒瀬が少しだけ笑うのがわかる。
「だろ。人にやってもらうの、悪くない。」
「……うん」
静かな温風の中、ふたりの空気がほんのり甘く溶けていく。
お風呂上がりのしっとりした空気と一緒に、心までやわらかくなるような、そんな時間だった。
「いや、俺はいい——」
そう言いかけた黒瀬の前に、有紀がドライヤーを持って座り込む。
「はい、こっち向いて。濡れたままだと風邪引くよ」
「……俺、髪短いんだけど」
「関係ない。それに、人にかけてもらうの、気持ちよくない?」
「……まあ…いいけど」
そう言いながらも、黒瀬は素直に背を向ける。
スイッチを入れると、ふわっと温風が広がり、彼の髪が軽く揺れた。
指で優しくとかすようにしながら、風をあてる。
黒瀬は黙ってされるがままになっていたが、途中、ふとぽつりと呟いた。
「……なんか、こういうのいいな」
「え?」
「髪とか、乾かしてもらうの。……こういうの、してもらったことねーかも。」
その何気ない言葉に、有紀の指先がぴたりと止まる。
けれど何も言わず、もう一度そっと風をあてた。
「──じゃあ、次は交代。」
ドライヤーをオフにすると、黒瀬がふいに振り返り、有紀の手からドライヤーを奪う。
「えっ、わたしはいいよ自分で──」
「俺にもかけさせろよ」
そう言って有紀の後ろに回る。
あたたかい風と一緒に、優しい指先が髪に触れた。
「……気持ちいい」
思わず漏れた声に、黒瀬が少しだけ笑うのがわかる。
「だろ。人にやってもらうの、悪くない。」
「……うん」
静かな温風の中、ふたりの空気がほんのり甘く溶けていく。
お風呂上がりのしっとりした空気と一緒に、心までやわらかくなるような、そんな時間だった。