【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
この距離のまま、仕事できる?
週明けの朝、フロアの空気がどこかざわついていた。
「新規プロジェクトのチーム編成が発表されたみたいですよ」
隣の席の田中美紅が、興味津々といった様子で声をかけてくる。
「ほんと?」
「はい!今、部長がチーム表配ってました。──あ、来た来た」
届いた紙を見て、有紀は思わず目を見開く。
<プロジェクトAチーム> リーダー:黒瀬 尚
メンバー:佐伯 有紀/川上 千紘/斉藤 祐馬
(……えっ)
黒瀬くんと、同じチーム。
それだけで、胸の奥がざわつく。
けれどそれ以上に、有紀の視線が止まったのは——
(……川上さんって、黒瀬くんと話してた……あの子)
そう。
給湯室で、黒瀬と笑い合っていたあの若手女性社員の名前が、そこに並んでいた。
「わぁ、私たち三人、黒瀬さんチームですね!」
川上千紘が明るく笑いかけてくる。
「──よろしくお願いします、佐伯さん。川上さん」
斉藤祐馬も柔らかく頭を下げる。
まだ若くて、ほんの少し頼りなげだけど、その丁寧な所作は好印象だった。
「こちらこそ。よろしくね」
なんとか平静を装って返す。
でも、その後ろにいた黒瀬と目が合った瞬間──一瞬だけ、視線が揺れた。
(……ほんとに、この距離で、何もなかった顔して仕事できるの?)
先週まで、何度も、夜を共にした。
それなのに、今日からは“リーダーとメンバー”。
公私を切り分けるべきだと頭ではわかっていても、心が追いついてこない。
「じゃ、10時からキックオフ会議な。会議室C、全員出席で」
黒瀬がそう言って、さっと視線を外した。
(そっけな……)
逸らされた視線に、寂しさを覚える。
それでも、この関係を続けているのは、他でもない“自分”。
「このままじゃ駄目」って、何度も思ったのに──
あのぬくもりを、突き放せなかった。
「新規プロジェクトのチーム編成が発表されたみたいですよ」
隣の席の田中美紅が、興味津々といった様子で声をかけてくる。
「ほんと?」
「はい!今、部長がチーム表配ってました。──あ、来た来た」
届いた紙を見て、有紀は思わず目を見開く。
<プロジェクトAチーム> リーダー:黒瀬 尚
メンバー:佐伯 有紀/川上 千紘/斉藤 祐馬
(……えっ)
黒瀬くんと、同じチーム。
それだけで、胸の奥がざわつく。
けれどそれ以上に、有紀の視線が止まったのは——
(……川上さんって、黒瀬くんと話してた……あの子)
そう。
給湯室で、黒瀬と笑い合っていたあの若手女性社員の名前が、そこに並んでいた。
「わぁ、私たち三人、黒瀬さんチームですね!」
川上千紘が明るく笑いかけてくる。
「──よろしくお願いします、佐伯さん。川上さん」
斉藤祐馬も柔らかく頭を下げる。
まだ若くて、ほんの少し頼りなげだけど、その丁寧な所作は好印象だった。
「こちらこそ。よろしくね」
なんとか平静を装って返す。
でも、その後ろにいた黒瀬と目が合った瞬間──一瞬だけ、視線が揺れた。
(……ほんとに、この距離で、何もなかった顔して仕事できるの?)
先週まで、何度も、夜を共にした。
それなのに、今日からは“リーダーとメンバー”。
公私を切り分けるべきだと頭ではわかっていても、心が追いついてこない。
「じゃ、10時からキックオフ会議な。会議室C、全員出席で」
黒瀬がそう言って、さっと視線を外した。
(そっけな……)
逸らされた視線に、寂しさを覚える。
それでも、この関係を続けているのは、他でもない“自分”。
「このままじゃ駄目」って、何度も思ったのに──
あのぬくもりを、突き放せなかった。