【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜

隠したい感情

その日から、有紀の中で何かが静かに軋み始めていた。


 
(……バカみたい)



別に付き合ってるわけじゃない。


ちゃんと関係に名前をつけたわけでもない。


それでも、自分だけが“特別”だと思っていた。



そう、思いたかった。


 
「はぁ……」



知らないうちに、ため息が漏れる。



気づけば、仕事中も黒瀬の顔をまともに見れなかった。

 

(顔、見たら……バレる)

 

わかってる。


私は感情が表に出やすい人間だ。



いつもなら、少し声をかけられただけで、嬉しそうにしてしまう。

 

──でも今は、うまく笑える自信がなかった。

 



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