【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
「……有紀」

「ん?」
 
「好き。ほんとに好き。毎日言っても足りないくらい、好き」


ストレートすぎて、返す言葉が見つからない。



恋人になってから。


毎日、彼はこうして真っ直ぐ好きを伝えてきてくれる。


「黒瀬くん……」
 
「……キス、していい?」


そっと覗き込んでくるその顔があまりに真剣で、有紀は小さく笑った。


「許可、いるの?」

「いや、いらない。もう限界」

 
そして次の瞬間、唇が重なる。
ゆっくりと、何度も。

 
触れるたび、黒瀬の手が、声が、呼吸が、有紀への“好き”で溢れていた。
 

──この人、ほんとうに、ずっと我慢してたんだな。
 

そう思ったら、胸の奥がじんわりと熱くなった。
 

「……俺、ほんとに、有紀しか見てないから」


耳元で囁かれたその言葉は、どんな愛の言葉よりも信じられる気がして。


有紀は、そっと目を閉じた。



その夜、黒瀬は何度も「好き」を重ねて、
名前を呼んで、抱きしめて、眠るまでずっと離さなかった。











──この人の気持ちが分からなくて、不安だった日々。




想い続けた先に、


こんなふうに“好き”が降り注ぐ毎日が待っていたなんて。



あの頃の私に教えてあげたい。



今、こんなにも確かに“愛されている”って思える日が来たよって。









(fin)




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