【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
金曜の夜。
ほとんどの社員が帰って、オフィスの灯りも半分は落とされた時間。
自分の忘れ物を取りに戻ったついでに、何気なく部署のフロアを覗いた。
一つだけ明るいデスク。
その光の下で、黙々と資料をまとめていたのが──佐伯有紀だった。
同期のはずなのに、あまり話したことはない。
たぶん、あいつの方も俺に興味はなさそうだった。
それが──妙に印象に残った。
髪を後ろでゆるくまとめて、前髪が落ちてくるたびに、くしゃっとかきあげる。
その手は、休むことなくキーボードを叩いて、印刷した資料をまとめて、また確認して。
時間を忘れてるんじゃないかってくらい、必死だった。
(……なんか、やたらやらされてないか?)
チラリとデスクを覗いて思った。
これ、明らかに複数人分の案件が混じってる。
──っていうか、あの案件って先輩の仕事じゃね?