【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
案件が本格的に動き出してから、有紀とはよく顔を合わせるようになった。



最初はただ、真面目で損な役回りばかり引き受けてる“ちょっと気になる同僚”だった。



けど今は──それだけじゃない。



「佐伯、明日の件なんだけど──」


「あ、資料まとめてあるから、共有フォルダに入れときました」


「あ……サンキュ。助かる」




そう言いながら、ふと感じた。

 

こういうやりとりが、驚くほど自然だってこと。

 

誰かに“よく思われたい”とか、“褒められたい”とか、そんな顔はひとつも見せない。

 

損だとか得だとか、そんなこと一切考えてない。




ただ、自分がそうすべきだと思って、当たり前のようにやってる。

 

それが、すごいと思った。

 

そして気づけば、毎日のように彼女を目で追っている自分がいた。



(……俺、たぶん、こいつのこと気になってる)



ふとした瞬間に、やっと認めざるを得なかった。



手帳に小さくて綺麗な字でメモしてる時の真剣な横顔。


資料に丁寧に付箋を貼る、器用そうでいて不器用な指先。

 
仕事が一段落したとき、ふっと緩む表情。



──全部、無防備すぎて、目が離せない。



俺がどんなに冷静ぶってても、気づけば視線がそっちにいってる。



最初は「気になる」だった。



それがいつの間にか、完全に「惹かれてる」になってる。




でも。




決定的にざわついたのは──高峰と話しているときだった。



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