【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
「……有紀、こっち向いて?」


黒瀬の低い声に、思わず身体が反応する。


小さく頷き、ゆっくりと身体を反転させると、自然と黒瀬と向かい合う形になる。


距離がぐっと縮まり、互いの体温が肌に伝わった。


目が合うと、黒瀬は微笑み、そっと唇を重ねてくる。


「ん…っ」



軽く触れるだけのキスかと思いきや、少しずつ深くなり、頬や顎に手を添えながら、丁寧に唇を重ねてくる。


 そして、唇が離れると、黒瀬の手が背中を伝って腰に回り、優しく引き寄せられた。


「有紀が好きすぎて……我慢出来ない。
けど、嫌だったらちゃんと言って」


「…っ」



その言葉に、有紀は心から安心する。


身体だけ求められているのではなく、ちゃんと愛されているとわかるから。



(朝から……もう、どうしてこんなに甘くて、ズルいんだろう)



「嫌、じゃない……」


視線を逸らし、素直に伝えると、黒瀬が嬉しそうに笑った。


まだ日の光は弱く、静かな部屋。



黒瀬が上に覆い被さってきて――



 

思わず思い出したその瞬間、有紀の顔は真っ赤に。


すると、隣に座っていた美紅が目を輝かせて言った。


「えっ! ?なんですかその反応〜! どれだけ黒瀬さん甘いんですか!? 気になります!」


「な、内緒…」


(結局、シャワーも一緒に入ったし、出勤ギリギリまで…)


さらに照れて頬が赤くなる有紀に、美紅まで照れる。


「え〜ずるいです。教えてくださいよ〜」


美紅はさらに身を乗り出し、楽しそうにきらきら笑った。
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