【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜

――しばらくまったり過ごしたあと、布団に潜り込む。


隣で目を閉じようとしている有紀に、気づけば俺は自然と覆い被さっていた。


「えっ、あの……黒瀬くん? き、昨日も……っ」


慌てた声が可愛くて、思わず笑みがこぼれる。


「俺は足りない。……毎日でもしたいくらい」

「えっ……それは……む、無理かも……体力が……」


冗談半分のつもりだったのに、有紀が真剣に返してくるから、吹き出してしまった。


「気にすんな。俺の体力なら余裕」


「いやいや!ち、違う! 私の体力が持たないの!」


軽く睨みつける姿が可愛くて、ふっと笑いながら髪を撫でる。


額にキスを落とし、頬へ、耳へ――ひとつひとつ確かめるように触れると、有紀はくすぐったそうに口元を緩めた。


「……口にしていい?」

「え?」

「キス」

「えっ、なんで確認とるの?」

「……キスしたら、たぶん止まれねぇから」


その言葉に、有紀は一瞬きょとんとした後、ふっと笑みをこぼす。


「もう……黒瀬くんったら……」


呆れたように言いながらも、両腕を俺の首に回し、自分から唇を重ねてきた。


甘くて、無邪気で――触れるほどに心臓をわしづかみにされる。








夜が深まるにつれ、抱きしめる腕は強くなり、肌を重ねるたびに有紀の甘い声が零れていく。


「……んっ……黒瀬くん……っ」

「ん?」

「っ……すき……」


潤んだ瞳で見上げながら、震える声で告げられた。


普段はなかなか言ってくれない言葉。


でも、こうして一番近い距離でだけ、素直に口にしてくれる。


それが、ずるくて……たまらなく嬉しい。



「……俺も。大好きだ」



抱きしめる腕に力を込めて、言葉を落とす。


そのあと布団にくるまり、まだ少し熱を残した身体を引き寄せる。


髪から香る同じシャンプーの匂い、白い肌の温もり、細い肩の感触。


すべてが、俺にとって愛おしい。


(……絶対、手放したくない)


胸の奥から、強く確かな想いが込み上げる。


軽く唇を触れ合わせると、有紀が照れくさそうに笑った。


互いに微笑み合いながら、ゆっくりと夜を過ごす。


甘くて、穏やかで――


有紀と二人でいるだけで、世界はやわらかく色づいていく。

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