【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
付き合って一ヶ月なんて、普通ならまだ“お試し”みたいな時期だろう。
けど、俺はもうすでに願ってしまっていた。
"佐伯有紀と一緒に生きていく未来"を。
ある日の帰り道、ふと視線を奪われたジュエリーショップのショーケース。
光を浴びて輝く指輪のひとつひとつが、有紀の姿に重なる。
(……まだ早ぇのかもしれねぇけど。俺は、もう——)
気づけば、店の扉を開けていた。
ショーケースの前に立ち、指輪を選ぶ自分がいた。
———そして迎えた次の休日。
有紀を家まで送った帰り際、ポケットの中で小さな金属の感触を確かめる。
ずっとタイミングを窺っていた“合鍵”。
「……有紀」
「ん?」
玄関前で振り返った有紀の目を見つめ、俺は掌を開いた。
そこにあるのは、銀色に光るキー。
「これ。……俺んちの鍵」
有紀の瞳が大きく揺れる。
「えっ……」
驚きと、戸惑いと、抑えきれない嬉しさが入り混じった声。
頬が真っ赤に染まっていくのを、俺は逸らさず見つめた。
「……俺がいないときでも、自由に入っていいから」
有紀は小さく息をのむと、両手で鍵を受け取り、大切そうにぎゅっと握りしめた。
そして、はにかむように笑う。
「……うん。黒瀬くん、ありがと」
その笑顔に、胸が詰まった。
――本当は指輪も、今すぐ渡してぇ。
けど、鞄の奥の小さな箱に触れるだけで、理性が踏みとどまる。
まだ一ヶ月。
俺の気持ちはかなり前のめりすぎる自覚があった。
有紀が同じ気持ちに辿りつくまで、焦らせることなんてしたくない。
だから今は、この合鍵で十分だ。
(……でも、いずれは必ず)
遠くない未来。
その箱を開く日が来たとき――
俺は有紀に一生を誓う。
その時、迷いなく頷いてもらえるように。
俺とずっと一緒にいたいって思ってもらえるように。
有紀を、大切にしたい。
いや、絶対、大切にする。
胸の奥で、固く固く誓った。
(fin.)
けど、俺はもうすでに願ってしまっていた。
"佐伯有紀と一緒に生きていく未来"を。
ある日の帰り道、ふと視線を奪われたジュエリーショップのショーケース。
光を浴びて輝く指輪のひとつひとつが、有紀の姿に重なる。
(……まだ早ぇのかもしれねぇけど。俺は、もう——)
気づけば、店の扉を開けていた。
ショーケースの前に立ち、指輪を選ぶ自分がいた。
———そして迎えた次の休日。
有紀を家まで送った帰り際、ポケットの中で小さな金属の感触を確かめる。
ずっとタイミングを窺っていた“合鍵”。
「……有紀」
「ん?」
玄関前で振り返った有紀の目を見つめ、俺は掌を開いた。
そこにあるのは、銀色に光るキー。
「これ。……俺んちの鍵」
有紀の瞳が大きく揺れる。
「えっ……」
驚きと、戸惑いと、抑えきれない嬉しさが入り混じった声。
頬が真っ赤に染まっていくのを、俺は逸らさず見つめた。
「……俺がいないときでも、自由に入っていいから」
有紀は小さく息をのむと、両手で鍵を受け取り、大切そうにぎゅっと握りしめた。
そして、はにかむように笑う。
「……うん。黒瀬くん、ありがと」
その笑顔に、胸が詰まった。
――本当は指輪も、今すぐ渡してぇ。
けど、鞄の奥の小さな箱に触れるだけで、理性が踏みとどまる。
まだ一ヶ月。
俺の気持ちはかなり前のめりすぎる自覚があった。
有紀が同じ気持ちに辿りつくまで、焦らせることなんてしたくない。
だから今は、この合鍵で十分だ。
(……でも、いずれは必ず)
遠くない未来。
その箱を開く日が来たとき――
俺は有紀に一生を誓う。
その時、迷いなく頷いてもらえるように。
俺とずっと一緒にいたいって思ってもらえるように。
有紀を、大切にしたい。
いや、絶対、大切にする。
胸の奥で、固く固く誓った。
(fin.)