【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜

【番外編】高峰颯真ifルート『優しさと、理性と、本能の狭間で』

※こちらは「本編とは異なる世界線」でのお話です。
もしも、有紀が高峰と付き合っていたら…?
そんな、ちょっと特別な“もしも”の物語です。有紀と高峰が恋人同士になって、
穏やかで、甘い時間を過ごしている、少し先の未来のお話です。

本編とは別ルートの世界線として、お楽しみ下さい*








高峰のマンション。


玄関の鍵が回る音がして、静かにドアが開いた。


「……ただいま〜」


その声に気づき、高峰はソファから身を起こす。
キッチンの照明を落としたまま、低い灯りの中でゆっくりと立ち上がった。


「おかえり、有紀。お疲れ様。」

「ふぅ〜……今日はもう、へとへとー…」



有紀はバッグを置くなり、スーツのままソファに倒れこむように腰を下ろした。


その隣に、高峰が柔らかく笑って、自然な動作で座る。
手に、冷えたお茶の入ったグラス。


「はい、水分補給」

「……わぁ…気がきく〜…ありがと……」


疲れた声と一緒に笑い、グラスを受け取る。冷たいお茶が喉にスッと沁みる。



有紀は、グラスをテーブルにそっと置いたあと、ふっと力が抜けたように、高峰の肩に頭を預けた。


高峰は黙って、肩に手を回し、その小さな身体を抱き寄せた。



「課長、急に仕様変えてきたんだって?」


「うん……聞いた?」


「朝イチでちょっと話出てたよ。まさか今日、会議まで全部やり直しになるとは思わなかったけど」


「ほんとそれ〜……今までの仕様、まるっと見直し。残業、確定です」


「お疲れさま。あの案件、けっこう詰めてたよね……大変だったね」


「うん……まあでも、逆に、クライアントにいい提案できそうな流れにはなってるかも」


嬉しそうに話す有紀の話を高峰が穏やかに聞きながら、手で優しく髪を撫でる。
まるで、仕事の疲れごと、すべて包み込むように。


その体温に包まれていると、耳元にかすかに届く息遣いまでもが、心地よくて。


ふたりの間に流れる静かな時間が、じわりと部屋全体の空気を、穏やかに変えていくようだった。







< 168 / 172 >

この作品をシェア

pagetop