【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
「……ごめん、ちょっと、我慢きかなかった」

「……や、だめとは……言ってない…っ」


有紀の言葉に、高峰が小さく笑う。


「じゃあ、もう一回」


そう言って、また唇が重ねられた。
ゆっくりと、やさしく、でも確かに“男の熱”を滲ませて。


有紀も、そっと高峰の首元に手を回した。


その小さな動きが、高峰の中の何かに確かに触れた。





そして——キスは、もうやさしいだけじゃなく、少しずつ熱を含んで深くなる。
吐息が混ざって、舌が触れ合う湿った音が室内に響く。


熱が静かにふたりの間を満たしていく。


「……有紀」


名を呼ぶ声が、今度は、少しだけ掠れていた。
耳元で、そっと囁かれる。


「……こうしてくれるの、うれしいけど……あんまり可愛いことされると、俺、調子に乗るよ」


有紀の指が、ぴくりと肩に触れる。


「……なにそれ…っ」

「止まれなくなるよってこと」


そう言って、高峰はもう一度、唇を落とした。


今度は、頬。耳のすぐ下。首筋の柔らかいところ。
ひとつ、ひとつ、丁寧に。


「ん、…」


心臓の鼓動が一気に早くなり、身体の熱が上がる感覚。
動作はすべて丁寧で優しいのに、
そこにあるのは、欲しいと求める男の熱。


甘く沈んだ空気の中で、有紀の指が、高峰のシャツをそっと掴んでいた。


ふたりの距離は、もう限りなく近くて──


お互いの体温と、吐息の熱と、触れる指先から伝わる鼓動。



それらすべてが、言葉より先に、気持ちを伝えていた。


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