恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
抱き寄せられ、耳元に落ちた囁きが、さらに追い打ちをかける。

 
「……聞こえる? この音」
「俺に触れられて、ちゃんと感じてくれてるの、わかる?」

 
「……やめて……そういうの言わないで……っ」

 
羞恥で思わず顔を逸らすと、黒瀬の手が頬に添えられ、ゆっくりと顔を正面に向けられる。

 
「……顔、ちゃんと見せて」

 
「……え?」

 
「誰に抱かれてるのか、ちゃんと見てて」

 
その言葉に、胸がドクンと跳ねた。

 
視線が絡み合う。
逃げ場のないまま、黒瀬の瞳の奥に引きずり込まれていく。

 
そこにあったのは、いつもの軽い冗談なんてひとかけらもなくて。
ただ、まっすぐで、熱を孕んだ、本気の色。

 
普段の職場で見せる飄々とした顔とは、まるで別人のような──
私を、心から求める顔だった。

 
自然と、引き寄せられるように唇を重ねる。
舌が触れ合い、絡まり合う。
まるで、恋人同士のように。

 
 
たった一晩だとしても、
この人の全部に、飲み込まれていく──

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