恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
「んっ、あ……や、あっ……」
自分の反応が恥ずかしくて、両手で顔を隠そうとすると、
黒瀬がすかさず手を伸ばし、そっと顔の横に押し付けた。
「顔、見せて。……もっと、可愛いとこ見たい」
そのひとことだけで、もう限界だった。
「ね…っ、ギュッてして…?」
普段は絶対出さない甘い声で伝えると、
黒瀬が一度だけ深く息を飲んでから、有紀を抱きしめる。
そのまま、有紀の耳たぶにキスを落としてくる。
熱と、優しさと、どうしようもない愛しさとが、全身に流れ込んでくるみたいだった。
「気持ちいい? ……痛くない?」
「うん……大丈夫……もっと、」
気づけば、自分でも信じられない言葉が口からこぼれていた。
彼の瞳が一瞬だけ驚いたように揺れて、それから、そっとキスを重ねてくる。
「……じゃあ、全部ちょーだい」
その言葉のあと、深く突き上げられて──
喉の奥から、押し殺せない声が漏れた。
「ぁっ……んっ、あ……だめ、くる……っ」
震える身体を、黒瀬の両腕がしっかりと支える。
繋がったまま、何度も名前を呼び合いながら、ふたりはひとつになっていく。
やがて、すべてが静かに満ちていくと、
黒瀬はそのまま、有紀を腕の中に抱き寄せた。
息が落ち着くまで、汗ばんだ額を撫でながら、
優しいキスを何度も落とす。
その触れる手も、いつもよりずっと優しくて。
でもやっぱり──彼の心の奥までは、見えないままだった。
それでも、有紀の胸の奥には、彼の熱が、確かに、息づいていた。
この夜がすべてを変えてしまっても──もう、戻れないとしても。
それでもいいと思えるくらい、彼に、深く触れられてしまったから。