恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
「……ん、起きた?」



寝ぼけたような声とともに、黒瀬が目を開けた。



そのまま有紀と視線がぶつかる。



(うわ……気まず……)



思わず目を逸らしかけたのに──



「おはよ、有紀」



彼の声は、驚くほどいつも通りで。
肩の力が抜けるような、自然な笑顔だった。


「……なんで、そんなに普通でいられるの……」



思わずつぶやいた言葉に、黒瀬は小さく笑う。



「俺は後悔してねーし。てか、黙って起きられたら、そっちの方がちょっと拗ねてたかも」

「拗ねてたって…」



平然と答える様子に、拍子抜けする。
でも、"後悔してない"。その言葉に、胸の奥がほんの少し、あたたかくなる。

 

目の前の彼は、いつもより少し優しくて。


昨夜の記憶が、くすぐったいような甘さで心を満たしていく。



(……もう、忘れられない)



そっと身を起こそうとすると、黒瀬の腕が有紀の腰を抱き寄せた。

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