恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
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ある飲み会の夜、隣の席にいた女性社員が高峰くんに聞いた。
『高峰さんって、彼女とかいるんですか?』
その時の彼は、少し困ったように笑って、
『んー……いないよ。でも、まだ前の恋愛引きずってるから、俺』
その一言が、胸の奥に重く残った。
(……忘れられない人がいるんだ)
大学時代に、すれ違いで別れた彼女がいたらしい。 切なげな瞳に、まだ誰かを想っている気配が滲んでいた。
(わたしじゃ、だめなんだ)
そう思った瞬間、期待することに疲れてしまった。
それからは、ただの“同期”でいようって、どこかで線を引いた。