恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
残業も終盤。
コピー室で資料をまとめていると、ふいに背後から、やけに軽い声がかかる。
「……おーい、営業女王様。こんな時間まで残業っすか?」
「……は?」
振り返ると、いたのは──
同期の、黒瀬 尚(くろせ なお)。
黒髪は少しラフにセットされていて、
いつもふてぶてしいのに妙に整った顔立ち。
高峰くんとは違って、ちょっと鋭い目つきが印象的なタイプ。
しかも──やたら口が達者で、ズカズカと懐に入ってくる。
普段は軽口ばかりだけど、実はプレゼンや数字には強くて、上司ウケもいい。
ぶっきらぼうな態度なのに、なぜか妙にモテる。
──社内の“人気ツートップ”と呼ばれてるのも、正直うなずける。
「……女王様って何」
「この前の企画、部長にベタ褒めされてたろ? “完璧だった”ってさ。もう女王の風格っすよ」
「……それ、チームでやったからでしょ」
「でも、あの場の主役はどう見ても佐伯様だったけどね?」
ニヤッと笑って、資料を置く私のすぐそば、当たり前のように机に手をついてのぞき込んでくる。
この距離感、ずるい。
そう思っていると──