恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
*
その帰り道。
有紀が缶コーヒーを両手で包みながら小さく息を吐くと、
横で歩く高峰が、ふと微笑んだ。
「……やっぱり、すごいな。佐伯って」
「え、なにが?」
「さっきのこと。俺、最初ちょっと焦ってた。うまくいかないかもしれないって。でも、佐伯がひとこと話し始めた時から、空気が変わった。……感動した。佐伯の言葉って、真っ直ぐで、飾ってなくて、綺麗で、スッと相手に届くんだよな。」
「ほ、褒めすぎだよ…」
「本当のことだから。」
そう言って、真っ直ぐに私をみる瞳に、鼓動が跳ねた。
*
駅前の居酒屋に入り、軽く食事を取ることに。
賑やかな店内、ふたり並んだカウンター。
何気ない話をしていた最中──ふいに、高峰が顔をこちらに向けた。
「……佐伯」
「ん?」
「黒瀬と、付き合ってるの?」
動揺で、グラスがカチリと鳴った。
「えっ、な、なんで……?」
「なんとなく。あの日の飲み会から、ふたりの空気が違う気がしてたから」
「つ、付き合ってないよ!」
「……そっか」
少しの沈黙のあと、高峰は目を伏せ、苦笑するように息を吐いた。
「じゃあ……まだ、俺にもチャンスある?」
「……へ?」
ゆっくりと、有紀を見つめる瞳。
ふざけてない。冗談でもない。
言葉の端々に、まっすぐな想いが滲んでいた。
「…」
突然の言葉に何も言えない。
高峰は、絶対、自分のことをそういうふうにみていないと思ってたから。
戸惑う私の空気を察して、高峰が困ったように微笑む。
「ごめん…。こんな出張中に言うことじゃなかったな…。また改めて言うよ」
「高峰、くん……」
……そのあと運ばれてきた料理の味は、よく覚えていない。
ただ、胸の奥で鳴り続ける鼓動だけが、記憶に残っていた。
その帰り道。
有紀が缶コーヒーを両手で包みながら小さく息を吐くと、
横で歩く高峰が、ふと微笑んだ。
「……やっぱり、すごいな。佐伯って」
「え、なにが?」
「さっきのこと。俺、最初ちょっと焦ってた。うまくいかないかもしれないって。でも、佐伯がひとこと話し始めた時から、空気が変わった。……感動した。佐伯の言葉って、真っ直ぐで、飾ってなくて、綺麗で、スッと相手に届くんだよな。」
「ほ、褒めすぎだよ…」
「本当のことだから。」
そう言って、真っ直ぐに私をみる瞳に、鼓動が跳ねた。
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駅前の居酒屋に入り、軽く食事を取ることに。
賑やかな店内、ふたり並んだカウンター。
何気ない話をしていた最中──ふいに、高峰が顔をこちらに向けた。
「……佐伯」
「ん?」
「黒瀬と、付き合ってるの?」
動揺で、グラスがカチリと鳴った。
「えっ、な、なんで……?」
「なんとなく。あの日の飲み会から、ふたりの空気が違う気がしてたから」
「つ、付き合ってないよ!」
「……そっか」
少しの沈黙のあと、高峰は目を伏せ、苦笑するように息を吐いた。
「じゃあ……まだ、俺にもチャンスある?」
「……へ?」
ゆっくりと、有紀を見つめる瞳。
ふざけてない。冗談でもない。
言葉の端々に、まっすぐな想いが滲んでいた。
「…」
突然の言葉に何も言えない。
高峰は、絶対、自分のことをそういうふうにみていないと思ってたから。
戸惑う私の空気を察して、高峰が困ったように微笑む。
「ごめん…。こんな出張中に言うことじゃなかったな…。また改めて言うよ」
「高峰、くん……」
……そのあと運ばれてきた料理の味は、よく覚えていない。
ただ、胸の奥で鳴り続ける鼓動だけが、記憶に残っていた。