【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
向き合わないと
月曜日の朝。
洗面所の鏡に、下着姿の自分が映っていた。
胸元に、うっすらと赤く残る痕──
ファンデを軽く重ねても、完全には隠しきれない。
(……やっぱり、ちゃんと残ってる)
シャツを着たら目立たないはず。
会社では、誰にも気づかれないと思う。
……でも、それでも、意識してしまう。
自分の肌に刻まれた、黒瀬くんの痕跡。
──高峰くんとのデートのあとに、黒瀬くんと夜を過ごした。
あのとき、何かに抗えなかった。
黒瀬に触れられるたび、心も身体も、彼に溺れていった。
(高峰くん……)
真っ直ぐに私のことを見て、知りたいって言ってくれた。
誠実な人。やさしい人。
その気持ちを、私は裏切るようなことをしてる。
……でも。
黒瀬くんのこと、ちゃんと「好きだ」って思ってしまった。
(……もう、曖昧にしちゃダメだ)
高峰くんには、ちゃんと話そう。
このまま誤魔化して向き合わなかったら、ずっと後悔する。
鏡の中の自分に、小さく頷いて──
私は、出社の準備を終えた。
*
通勤電車のざわめきも、会社の入り口も、
全部、いつもと変わらないはずなのに。
心だけが、静かにざわついていた。
(……大丈夫。ちゃんと、仕事に集中……)
そう言い聞かせて、オフィスのドアを開ける。
エアコンの風と共に、慣れた空気が流れ込んでくるのに、
どこか、肌がざわりとした。
そのとき──
「おはよう、佐伯」
声がして振り返ると、そこにいたのは高峰だった。
(……あ、思ったより、普通、かも…)
「おはよう」
「この前はありがとう。楽しかったよ」
変わらぬ笑顔でそう言われて、
有紀も微笑み返す。
「……うん。こちらこそ」
──けれど、その笑みは少し引きつっていたと思う。
高峰くんは知らない。
あの日の夜のこと。
そして──いまの私の気持ちのことなんて。
「顔色、ちょっと悪い?」
「え、あ……ううん。大丈夫!」
気まずさを、慌ててごまかすように笑って、逃げるように給湯室へ向かった。
洗面所の鏡に、下着姿の自分が映っていた。
胸元に、うっすらと赤く残る痕──
ファンデを軽く重ねても、完全には隠しきれない。
(……やっぱり、ちゃんと残ってる)
シャツを着たら目立たないはず。
会社では、誰にも気づかれないと思う。
……でも、それでも、意識してしまう。
自分の肌に刻まれた、黒瀬くんの痕跡。
──高峰くんとのデートのあとに、黒瀬くんと夜を過ごした。
あのとき、何かに抗えなかった。
黒瀬に触れられるたび、心も身体も、彼に溺れていった。
(高峰くん……)
真っ直ぐに私のことを見て、知りたいって言ってくれた。
誠実な人。やさしい人。
その気持ちを、私は裏切るようなことをしてる。
……でも。
黒瀬くんのこと、ちゃんと「好きだ」って思ってしまった。
(……もう、曖昧にしちゃダメだ)
高峰くんには、ちゃんと話そう。
このまま誤魔化して向き合わなかったら、ずっと後悔する。
鏡の中の自分に、小さく頷いて──
私は、出社の準備を終えた。
*
通勤電車のざわめきも、会社の入り口も、
全部、いつもと変わらないはずなのに。
心だけが、静かにざわついていた。
(……大丈夫。ちゃんと、仕事に集中……)
そう言い聞かせて、オフィスのドアを開ける。
エアコンの風と共に、慣れた空気が流れ込んでくるのに、
どこか、肌がざわりとした。
そのとき──
「おはよう、佐伯」
声がして振り返ると、そこにいたのは高峰だった。
(……あ、思ったより、普通、かも…)
「おはよう」
「この前はありがとう。楽しかったよ」
変わらぬ笑顔でそう言われて、
有紀も微笑み返す。
「……うん。こちらこそ」
──けれど、その笑みは少し引きつっていたと思う。
高峰くんは知らない。
あの日の夜のこと。
そして──いまの私の気持ちのことなんて。
「顔色、ちょっと悪い?」
「え、あ……ううん。大丈夫!」
気まずさを、慌ててごまかすように笑って、逃げるように給湯室へ向かった。