【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜

高峰颯真side | 部屋に残る余韻

カーテンの隙間から、柔らかな朝の光が差し込んでいた。



ぼんやりとした視界のまま、天井を見つめる。

 

「……ん……」


喉が乾いていて、頭が少し重い。


けれど、思ったよりはスッキリしている。

 

(……あれ、昨日……)

 

起き上がった高峰は、掛けられていた毛布をゆっくりと外し、肩に落とす。


ぴんと整った毛布の端を見て、一瞬だけ、違和感を覚えた。



自分じゃ、こんなふうにきれいにできない。

 

ふと視線を落としたテーブルの上。



そこにあったのは、昨夜脱いだはずのスーツだった。



丁寧に折りたたまれて、形が崩れないように整えてある。

 

(……俺、こんなふうに畳んだ覚え、ないぞ)

 

少しだけ鼻先にふわりと香る、石鹸のような柔らかな香り。
──思わず、指先でスーツの襟に触れた。

 

(……佐伯が、やってくれたのか)

 

ゆっくりと、記憶がよみがえる。



会食、酒、ふらつく足取り。



公園のベンチで、彼女に支えられたこと。



……そして、自分が言った言葉。

 

『——俺、佐伯が、好き』

 

喉の奥が、きゅっと締めつけられるような感覚がした。

 

「……帰ったんだな」

 

誰に言うでもない独り言。

 
空気はしんと静まり返っているのに、どこか部屋の中に、有紀の“気配”が残っている気がした。

 
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