【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜

変わらない関係と、変わり始める気持ち

出社すると、オフィスにはいつもと変わらぬ空気が流れていた。


けれど有紀の中には、ひとつの区切りがついていた。


高峰に気持ちを伝えたことで、心がすっと軽くなっていた。


(もう、大丈夫。ちゃんと、前を向ける)


そんな想いを胸に、デスクに座ると、タイミングよく高峰が席にやってきた。




「おはよう、佐伯」


「おはよう」


自然なやり取り。


思っていたほどの気まずさはなくて、むしろ少し、前よりも柔らかい空気が流れていた。



案件の進捗確認もスムーズで、高峰もいつも通り、穏やかで頼もしい。



有紀はふと、思った。



(恋が終わったからって、何かが壊れるわけじゃないんだ)



むしろ、互いの想いをちゃんと伝え合えたからこそ築けた、やわらかい信頼。



高峰のことを、改めて「大切な同僚」として見つめることができていた。




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