ハニートラップ

――side.高峰久哉

珠桜の弟と2人で、部屋の中に取り残される。

咲は俺に友好的にする気はないらしい。

珠桜がいなくなった後も、ずっと黙って俺を睨んでいる。

「――お前のせいか。最近姉ちゃんがおかしくなったのは。」

不躾な言葉に目元がピクリと反応する。
それを見て咲は半歩後退りするが、引かない。

「宿題見てくれてる時も、ずっと上の空!
――前はこんなじゃなかったのに。」

憎々しげに、咲の眉根が更に寄る。

こんなガキのやきもち、ダメージにすらならない。

そう思ったのに、珠桜そっくりのその顔になぜか心が少しざらつく。


「へぇ?それだけ俺に夢中ってことか。」


鼻で笑って挑発すれば、咲の険しい顔がカッと赤くなる。

「――お、俺は認めないからな!」

咲は歯を食いしばったまま、いかにも小学生らしい捨て台詞を吐いて隣の部屋へと逃げていった。

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