ハニートラップ
「珠桜。」
つまらなそうな冷淡な目が、私を見つけると柔らかく細まる。
その顔にキュンとして、同時にすごく安心する。
高峰くんと並んでも違和感のない子達を見もせず、高峰くんが私のところに歩いてくる。
前は私に見せつけるみたいに、気軽な会話を楽しんでいたのに。
ほんの数週間前から、徐々に高峰くんの態度が変わっていった。
「今日はどっか寄る?」
「ううん、大丈夫。」
高峰くんの声が明るい。
表情も優しくて、さっき見た俊平と千歳ちゃんの“正しい恋人像”に似た雰囲気にも感じられる。
自惚れじゃない、“特別扱い”。
なのに、理由もなく胸が冷える。
だってその変化と全く同じタイミングで、
高峰くんが一切私に触れてこなくなったから。