ハニートラップ
バタンとドアが閉まる音がやけに耳に残って、俺と俊平の間に変な沈黙が流れる。
「――じゃ、俺も……」
「どうやったらさ、」
いそいそと家に入って行こうとした俊平が、俺の声に足を止めた。
俺の顔を見る俊平が、不思議そうな顔をしている。
多分俺は、笑っている。
「どうやったら、珠桜があんな風になるわけ?」
「――え?」
俊平が疑問符を浮かべて顰めた顔にまたムカついて。
喉の奥が妙にヒリつく。
は――、感情がぐっちゃぐちゃ。
見上げた珠桜の部屋の窓は、ほんの少しカーテンに隙間が開いている。
そこから人影が動いたのが見えた。
珠桜の手を掴むはずだった拳を、そっと解く。
相変わらず触れたいし、独占したい。
そして初めて
珠桜の“心”が欲しいと思った。