ハニートラップ
phase:35 吐露
週が明けた昼休み。
いつものようにチャイムの後すぐに立ちあがろうとしたところを、千歳ちゃんに呼び止められた。
「珠桜ちゃん、今日時間いいかな?」
時間、なくはないけど……
と思いながらも、視線が無意識に開け放たれたドアへと向く。
「……高峰くんなら大丈夫。
俊平くんに足止めしてもらってるから。」
手回しが良すぎて怖い。
「それなら、わかった。」
でも断る理由が消えてしまって、千歳ちゃんと2人で教室を出た。
神妙な面持ちの千歳ちゃんと一緒に、中庭のベンチに並んで座る。
校舎の中から賑やかな笑い声が漏れ聞こえるのに、ここの空気はほんの少し重たい。
「珠桜ちゃんって、どう思ってるの?
――その、高峰くんのこと……。」
意を決した千歳ちゃんの口から出てきた言葉に、心臓が跳ねる。
答えられなかったのに、思わず引き締めた口元がその答えになってしまった。
「……好き、なんだね。」
言語化されて、全身がぶわっと熱くなる。
それを見た千歳ちゃんは驚いてぽかんとした顔をした後、複雑そうに苦笑した。
「あの、でも、付き合っては……ないんだよね?」
――踏み込んだ質問。
どうしようか、と迷って、でもバレたならいいかとゆっくり頷く。