ハニートラップ

phase:45 取り戻す


私の“助けて”は通りにまでちゃんと届いていたようで、しばらくしたら本当に警察がやってきた。


婦警さんに寄り添われて出た通りは、真っ赤なランプがクルクルと回って異常事態を知らせてる。
何事かと群がる人目から隠されて、私はパトカーに乗せられた。


高峰くんは全身痣だらけで出血もしていたから、すぐに救急搬送されたらしい。




――抱き合っていた時。

泣き喚いた私が段々落ち着いていくのと反対に、高峰くんの意識はどんどん遠のいていっていた。

それでも、私を抱き締める手の力は少しも緩まない。


「珠桜……。俺、ちゃんとするから……。」


朦朧としながら譫言のように、高峰くんはそう言った。


“ちゃんとする”って、何を?


わからなかったけど。

泣き過ぎな心にストンと落ちて、高峰くんの感触を確かめるみたいに目を閉じた。
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