ハニートラップ
phase22:体育祭
体育祭が始まった。
グラウンドに赤、青、緑のカラーTシャツが目に眩しい。
入り混じる各軍の応援と競技に白熱する歓声が、青空に響き渡っていた。
「珠桜!速ーい!」
一着のリボンを腕につけて応援席に戻ると、ミナが興奮気味に駆け寄ってきた。その後に、マキも続く。
「へへ、まぁね。」
2人に向かってピースサインをして笑うと、赤軍の応援席の後ろのフェンスに凭れかかる高峰くんを見つけた。
退屈そうな端正な顔が、こっちを見つめている。
心臓がドキリと反応した。
「高峰久哉がこっち見てる!やば!
私かな!?かっこいー♡」
きゃっきゃと騒ぐミナの声で現実に引き戻される。
そのすぐ後、マキが私のTシャツの裾をゆすった。
マキは何も言わずに首を横に振る。
(……うん、わかってるよ。)
だから高峰くんから目を逸らして、友達と過ごす日常に戻った。