ハニートラップ
高峰くんはいつも颯爽と去っていくから、当たり前の様にに来てくれるから、
私はそれをどこかふわふわした気持ちで捉えていた気がする。
まるで映画の世界に入り込んだみたいに。
――そうじゃないよね。
高峰くんにだって自分の時間や、生活がある。
その時間の一部を使って、
“私のために”頑張っていてくれたことが嬉しい。
だから、期待しそうになる。
――でも。
『久哉でいーよ。』
高峰くんは、私に決定的な言葉をくれない。
“特別”をくれたり、くれなかったり。
たぶん、好かれているとは思う。
ただ、その好きの後には、“飽きるまで”がつく気がする。
「俺の話はいーから。会う方法考えよ。」
そう言ってまた抱き締められる。
思考を奪う体温が、嬉しいのに、虚しい。
高峰くんの胸の中で、強く目を瞑って現実を切り離す。
いつまでたっても、
浸かりたいのに、浸かりきれない。