エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「おじさんがくれた紙、ツルツル!」
「お絵かき、しやすそう……」
「こら。司……。駄目よ。これは名刺と言って、大事に取っておかなきゃいけないの」
「めーしぃ?」
「ママ! なんで、大切にしなきゃいけないの?」

 司はあまり聞いたことのない単語に小首を傾げ、涼花は疑問を解消するために元気いっぱいに質問する。

「大門寺さんに連絡を取りたい時、必要なんだよ」
「ふぅん……」
「ぼく、大事にする……」

 娘は興味がなさそうにブラブラと両足を動かし、息子は小さな四角い紙をリュックサックの中へ仕舞った。

「時間だな」

 弁護士相談は、最初から30分だけと決まっていた。
 延長を希望するなら、追加料金を支払わなければならない。
 しかし今の私にはこれ以上話を続けるために、数万円をぽんっと支払える財力はなかった。

「2人共、帰るよ」
「うん……」
「はーい!」

 席を立ち、双子へ促す。
 涼花はすぐに座り心地のいいソファーからぴょんっと飛び出したが、司は何か言いたげに大門寺さんのほうをじっと見つめていた。
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