エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「ぼくは不安にならなくて、よかったの……?」
「もう! だから、ずっとそうやって言ってるでしょ!?」
「そっか……」

 妹に促された兄は、瞳から溢れ出る涙を拭う。
 そうして、ほっとしたように肩の力を抜いた。

 ここまで来るまで、とても長い時間がかかってしまった。
 心の中でそう反省していると、大門寺さんの口から思いもよらぬ感想が紡ぎ出された。

「司は本当に、澄花そっくりだな」
「ママと……?」
「ああ。おどおどしていて、引っ込み思案で、思い込みが激しく、泣き虫」
「ねぇ! パパ! りょうかは!?」
「涼花は、どちらかと言えば僕似だな。狙った獲物は逃さず、猪突猛進。一度好きになった相手は、周りが見えなくなるほど追いかける……」

 双子は両親と似ているところがあると父親から称され、嬉しそうにはにかんだ。
 そんな姿をやや距離を置いてじっと見つめていた誠くんが息子に声をかけてきたのは、それからすぐのことだった。

「司」
「まことくん……」
「もう、純司兄ちゃんよりもオレのほうがよかったなんて、言わないよな?」
「……うん」
「いい子だ」

 誠くんは司の頭を優しく撫でつけると、目を合わせて微笑んだ。
 息子はこのまま彼と別れるのが嫌なようで、不安そうに瞳を潤ませて問いかける。
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