エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「まことくんと、バイバイするの……?」
「そのうちな。でも、もう寂しくはねぇだろ?」

 誠くんは司の背中を叩いたあと、大門寺さんのほうを見つめた。
 それは、「父親の元へ行ってこい」という無言の合図だった。
 彼に送り出された息子は覚束ない足取りで弁護士さんの元へ向かった。

「つかさ! 早く!」
「おいで」

 妹と父親に呼ばれた息子は、瞳から大粒の涙を流しながら彼の胸元へ飛び込んでいく。

「パパ……!」
「ようやく、一件落着だな」

 双子と大門寺さんが抱きしめ合う姿を目にした誠くんは、ほっと肩を撫で下ろして告げる。
 釣られて涙ぐみそうになっていた私は、慌てて意識を現実に引き戻した。

「7並べ、全然できなくて……」
「オレさ。澄花さんのこと、好きだったんだ」

 謝罪をしかけた直後、誠くんから告白された時はどうしようかと思った。
 目の前には、大好きな人がいるのに――。
 こんなところで愛を囁かれても、まったく頭に入ってこない。
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