エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「ごめんなさい……。私……」
「あー、わかってる。強引に奪おうとか、そういうつもりはねぇから。安心してくれ」
「そう、なの……?」
「純司兄ちゃんが会いに来なければ、オレにしないかって提案できたんだけどなー。もう、つけ入る隙なんざねぇだろ?」

 私は誠くんの言葉を受けて、こくりと頷く。
 大門寺さんと再会してしまったら、彼以外の男性と結婚するなど考えられなかったからだ。

「これからは親戚として、よろしくな」
「うん……」

 私は相槌を打ったあと、静かに俯く。
 誠くんも、三千院さんも、凄いと思った。
 自分が彼らと同じ境遇であれば、失恋後にすぐさま気持ちの切り替えなどできないからだ。

 ――明るくて前向きな2人が、眩しい。

 変わらなきゃと思っていたはずなのに、まったく成長していない。
 そんな己の境遇に気づかされ、消えたくなった。

「澄花?」

 大門寺さんのこちらを労るような声を聞き、はっと顔を上げる。
 その時にはすでに、堪えきれない涙が頬を伝って溢れ落ちていた。
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