エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「三千院との許嫁を解消しただけでは飽き足らず、まだ私から逃れようとするのか!」
「僕は貴様の息子だが、操り人形ではない。己の歩むべき道は、自分で決める」
「純司……」
「司が大人になり、自らの意思でシールドエージェンシーを継ぐと言うまでは貴様とかかわる気はない」

 息子の意思が考えている以上に強いと気づいたのか。
 義父は一瞬怯んだ様子を見せるが、すぐに握りしめていた拳をワナワナと震わせた。

 ――このままでは、言い争いだけでは済まないかもしれない……。

 そんな危機感をいだいたところで、部外者の自分が親子喧嘩に口を挟んでも状況は悪化するだけだ。

 ――どうしよう……。
 なんとか、しなきゃ……! 

 私はおろおろと視線をさまよわせ、この状況を打破できないかと頭を悩ませる。

「兄さん。頭ごなしに叱りつけたって、純司は言うことを聞かないわよ?」
「貴様は部外者だろう! 黙っていろ!」
「いいえ。黙りません」
「な……っ」

 助けを求めるような視線を受け止めてくれたのは、店長さんだった。
 義父の妹である彼女は、よく通る声で兄を諭す。
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