エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「なぜ、僕に話を通さずに直接保育園から子ども達を拐おうとしたんだ」
「私は娘のほうになど興味はない。理由は先程説明した通り。これほど大きな騒ぎになったのは、こちらの言うことを聞こうとしなかった貴様のせいだ」
「僕が司を手放すと、本気で思っていたのか」
「思っていないから、こうするしかなかった。なぜ、それを理解できぬ!?」

 義父はまったく悪びれる様子もなく、夫を怒鳴りつけた。
 私は物凄い剣幕に怯えてびくりと肩を揺らしたが、彼はこうして叱咤されることに慣れているからか。
 顔色一つ変えず、淡々と語る。

「息子が駄目なら、孫を誘拐してでも跡取りにしようと目論むその心理が僕にはわからない。子どもを貴様の私利私欲を満たすための道具とでも思っているのか?」
「私の言うことを黙って聞いていれば、何もかもがうまく行くはずだったのに……!」

 しかし、彼がそれどれほど言葉を重ねたところで義父には届かない。
 男性は悔しさを滲ませ、再び恫喝する。
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