エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 ――どうしよう……っ。

 まさか自分の身に、こんなことが起きるなど思いもしなかった。

 悪夢としか言いようのない恐ろしい状況から逃れたいと思うけれど、天涯孤独で引っ込み思案な性格をしている私にはどうすればいいのかなどさっぱりわからなかった。

 金銭的な蓄えはあるけれど、大金持ちと言えるほどには稼げてなどいない。
 会社からの通勤距離がこれ以上長くなったり家賃が高くなったりしたら、生活ができなかった。
 この状況を維持するのが精一杯な状態では、引っ越しなどできるはずもなく――。

「お電話ありがとうございます。ファンシーレインボー、五月雨(さみだれ)が承ります」

 何事もなかったように仕事を続けていた、罰が当たったのだろう。

『日常生活を送っていれば、いつかは飽きるって思ってるんだ?』

 妙に距離感の近い、軽薄そうな男性から職場宛に電話がかかってきた。
 私はすぐにそれが仕事に関するものではないと認識し、通話を遮断するか迷いながら戸惑いの声を上げる。
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