エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「あ、あの……」
『やっと話ができたね。澄花』

 そうこうしているうちに見知らぬ男性から名前を呼ばれ、ゾッと背筋が凍った。
 不審者を刺激したら、もっと酷い目に遭うかもしれない。
 それがわかっていたはずなのに、気づけば声に出して拒絶の意思を示していた。

「もう、私にかかわらないでください……!」

 普段は大人しく仕事に遵守している店員が、突然大声を出したあとにガチャンと受話器を叩きつけたのだ。
 これには一緒にいた店長さんも驚いたようで、何があったのかとこちらに寄ってきた。

「どうしたの!?」
「わ、私……っ」

 いつもなら本音を隠し、なんでもないと笑顔で取り繕えた。
 だけど――。
 恐怖で立っているのがやっとな状況では、うまく感情のコントロールができなくて……。
 私は初めて、他人に半年前から変質者の被害に遭っていると打ち明けた。

「半年前から知らない男の人に、あとをつけられて……! 不審な、電話まで……っ! 私、もう……っ。どうしたら……!」
「警察には? 連絡したの?」
「はい……。でも、気のせいだと言われてしまって……」
「そう……。だったら、弁護士に相談してみるのはどうかしら?」

 店長さんから思いもよらぬ提案を受けて、面食らう。
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