エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「どうした。疲れた顔をしているようだが……」
「父親がいると、子ども達はこんなにもいい子になるんだと思ったら……。なんだか、感慨深くて……」

 私は、彼が子ども達からこちらに視線を向けたのをいいことに、素直に胸の内を吐露する。

「今までのように中野家の力を借りてこの子たちを育てていたら……。職業体験施設になど、連れていけませんでした。貴重な体験ができたのは、純司さんのおかげです。本当に、ありがとうございます」
「気にするな。僕は父親として、当然のことをしたまでだ」
「純司さんと再会できたのは、偶然でしたが……。こうして再び巡り会えて、本当によかったです」

 こちらが口元を綻ばせて心底幸せで堪らないと言わんばかりの反応を見せると、彼は当然のように私の腰を抱く。
 その後、耳元で囁いた。

「君が別の弁護士事務所に駆け込み、代理人を挟んで養育費請求をしたとしても――僕は澄花の隣へ並び立つため、ありとあらゆる手段を講じただろう」
「純司さん……」
「僕の最愛は、君だけだ」

 双子がいなければ、その言葉が嬉しすぎて飛び跳ねるほどに喜んでいただろう。
 だが、私はもう1人ではない。
 子ども達のことを忘れないでほしいと少しだけ怒りを含めながら、声を荒らげた。
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