エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 それでも、己の気持ちを上手くコントロールできずに酷い態度を取ってしまうのを止められない。
 そんな自分が、大嫌いだった。

「この状況をなんとかするために、僕がいるんだろう」

 そんな私にも、彼は冷静に言葉を紡ぐ。
 さすがは、弁護士さんだ。
 子どもっぽく駄々を捏ねる自分とは、大違い。

 かっこよくて、何があっても動じない。
 その姿は、頼りがいのある大人のように感じられて――お父さんが生きていたら、こんな感じだったのかなと思った。

「弁護士にできるのは、情報開示請求と接近禁止命令だ」
「それって……?」
「君のあとをつけてくる謎の男がどこの誰かを把握し、つきまといを禁ずる」

 彼はテーブルの上にA4サイズの真っ白な紙を取り出すと、慣れた手つきでペンを動かす。
 そこには弁護士さんに依頼した場合の着手金と報酬金が書かれていた。

「不審者が職場に携帯電話からかけていれば、楽に身元を割り出せる」
「簡単なのに、こんなにお金がかかるんですね……」
「手間代と技術料だ。まぁ、一般人がポンと出せる金額ではない」

 私の半年分近い給料と引き換えに変質者と戦ったところで、必ず付き纏いが止まる保証はないのだ。
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