エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 外側から扉が開き、弁護士さんらしき男性が入室したのは。
 私は双子にかかりきりになっており、彼の顔を確認しないまま申し訳なさそうに頭を下げる。

「すみません。騒がしくて……」
「お子さん達、よく似ていらっしゃいますね」
「双子なんです」

 弁護士さんはまったくこちらの様子を気にした様子もなく、対面の椅子に座った。
 その後、身を乗り出して子ども達に問いかける。

「へえ。2人は、いくつ?」
「わたし、りょうか! ごしゃい!」
「ぼく、つかさ……。5歳……」
「おじさん! お名前、教えて?」
「僕は、大門寺純司(だいもんじじゅんじ)だ」

 ――涼花に促されて男性が口にした名前を聞いて、呼吸が止まった。

 これは明らかに喧嘩を始めた子ども達の仲裁に必死で、弁護士さんの顔を確認しなかったこちらのミスだ。

「久しぶりだな、澄花(すみか)

 その男の名は、生涯忘れることなどないだろう。
 だって、彼は――子ども達の、父親なのだから……。

「男女トラブルの相談なんて、穏やかじゃないな。何があった?」
「それは……」
「浮気でも、されたか?」

 養育費の請求相談にやってきて、まさか本人が弁護士として現れるなど思いもしない。
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