エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
『開示請求が終わった』
弁護士さんから電話で報告を受けた私は、ようやく変質者の身元がわかると浮足立っていた。
急遽仕事帰りに弁護士事務所へ寄ることになり、初めてここに訪れた時は打って変わって堂々と扉を開いた時だった。
聞き覚えのない男性の声で、後方からフルネームを呼ばれたのは。
「あんたが、五月雨澄花だな?」
振り返って呼び止めた人の正体を確認するか、走って大門寺さんに助けを求めるか。
――悩んだのは、一瞬だった。
「おい! 待て!」
1人だったら、立ち向かっていたかもしれない。
だけど――。
『何かあったら、すぐに頼れ』
『弁護士さんに、迷惑なんてかけられません』
『僕は君の、偽彼氏だからな』
大門寺さんが不敵な笑みを浮かべて、そう言ってくれたから。
私はその言葉を信じ、彼を頼る道を選んだ。
「助けて……!」
「大人しくしろ!」
「大門寺さん……!」
「くそ……っ。手荒な真似は、したくねぇんだが……!」
かつての私であれば、後ろから羽交い締めにされた時点で抵抗を諦めていただろう。
だが、今は違う。
叫べば絶対に、助けを求める声が彼に届く。
そう、信じていたから――。
バタバタと両手足を動かし、最後まで大暴れをし続けた。
弁護士さんから電話で報告を受けた私は、ようやく変質者の身元がわかると浮足立っていた。
急遽仕事帰りに弁護士事務所へ寄ることになり、初めてここに訪れた時は打って変わって堂々と扉を開いた時だった。
聞き覚えのない男性の声で、後方からフルネームを呼ばれたのは。
「あんたが、五月雨澄花だな?」
振り返って呼び止めた人の正体を確認するか、走って大門寺さんに助けを求めるか。
――悩んだのは、一瞬だった。
「おい! 待て!」
1人だったら、立ち向かっていたかもしれない。
だけど――。
『何かあったら、すぐに頼れ』
『弁護士さんに、迷惑なんてかけられません』
『僕は君の、偽彼氏だからな』
大門寺さんが不敵な笑みを浮かべて、そう言ってくれたから。
私はその言葉を信じ、彼を頼る道を選んだ。
「助けて……!」
「大人しくしろ!」
「大門寺さん……!」
「くそ……っ。手荒な真似は、したくねぇんだが……!」
かつての私であれば、後ろから羽交い締めにされた時点で抵抗を諦めていただろう。
だが、今は違う。
叫べば絶対に、助けを求める声が彼に届く。
そう、信じていたから――。
バタバタと両手足を動かし、最後まで大暴れをし続けた。