エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 私もはっと顔を上げて、「一体何をするつもりですか」と警戒の色を隠せぬまま訝しげな視線を向ける。
 すると、彼は一度ソファーから席を立つと、部屋の片隅に置いてあった冷蔵庫からあるものを取り出した。

「せっかく来たんだ。おいしいおやつを、食べてからにしないか?」
「ケーキ……!」

 涼花は嬉しそうに瞳をキラキラと輝かせて、お皿の上に乗ったショートケーキに釘づけだ。
 司もチョコケーキを食べたそうにしているし、無理やりここから連れ出したら大泣きされかねない。

「ママ。食べて、いい……?」
「いいよ」
「やったー!」

 私の許可を得た子ども達はソファーに座り直してスプーンを手に取ると、目の前に置かれたケーキに舌鼓を打つ。
 彼が姿を見せるまで兄妹喧嘩をしていた状態からは想像もつかないほどに、大人しくなった。

「用件を聞こう」

 今日は相談だけのつもりだった。
 でも……。
 当事者が目の前にいるなら、思い切って交渉するべきだろう。

 ――タイムリミットは、この子達がケーキを食べ終えるまで。

 私は覚悟を決め、さっそく行動に出る。
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