エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「せ、生活が……。く、苦しくて……」
「ほう?」
「子ども達の父親に、養育費を支払ってもらいたいんです。それで、裁判をお願いしようかと……」
「俺の前から黙って姿を消したあと、結婚していたのか」

 大門寺さんはまさか、双子が自分の子どもだとは思いもしないのだろう。
 別の男性と交際していたのかと聞かれた時は、素直に打ち明けるか悩んだ。

 でも……。

 ここで嘘をついたところで、なんの意味もない。
 私は勇気を出して、真実を打ち明けた。

「いえ……。籍は入れていません」
「認知は?」
「この子達がお腹に宿ったことすら、知らないはずです……」
「そこからか……」

 目の前に子ども達の父親がいるのに、架空の存在をでっち上げる罪悪感。
 嘘が露呈したらどうしようと募る恐怖心。
 子ども達がグズって「お家に帰りたい」と騒ぎ出すかもしれないと怯え、無意識のうちに全身へ力が籠もる。
 大門寺さんはそんなこちらの反応を目にしたからか。
 短い思案のあとに真剣な表情へ変化させると、静かに告げた。
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