エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 ――結論から言えば、大方の予想通り妊娠していた。

 私が肌を許したのは大門寺さんが最初で最後のため、お腹の中に宿った命の父親は彼と言うことになる。
 店長さんからしてみれば、無事に生まれて来た場合は姪孫だ。

「おめでとう」
「ありがとう、ございます」

 私はこの場で彼女に事実を打ち明けるべきか、弁護士さんと一緒に報告するかを悩む。

 ――大門寺さんが妊娠を喜んでくれたら、できちゃった結婚になるかもしれない。
 その時に、2人揃って報告すれば充分だろう。

「体調は、平気? このまま午後休を取るのなら、自宅まで送っていくわよ?」
「いえ……。体調不良の原因がわかって、随分と楽になりました。このまま、お仕事を続けさせてください……!」

 店長さんに頼み込み、このまま「臨時休業」の札を出して施錠をしたお店へ戻ることになった。

「そう? なら、このまま……」

 産婦人科から出てすぐの駐車場に停車させた車へ乗り込む直前、彼女が遠くをじっと見つめて不自然に言葉を止める。

 ――今にして思えば、ここが人生の分かれ道だった。
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