エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「りょうかは、遊んでって、お願いしただけ!」
「首を、ぎゅーってしたでしょ?」
「だって……! つかさが、りょうかの邪魔をしたんだもん!」
「両手で強く圧迫すると、誠くんがいなくなっちゃうの。涼花だって、それは嫌でしょ?」
「まことくん、ちんじゃうの……?」

 涼花はうるうると瞳を潤ませ、司を背中に乗せた男性に問いかけた。
 青年の名前は中野(なかの)誠くん。
 私が働いている雑貨屋の店長さんの息子さんだ。
 彼女のご厚意で住んでいたマンションの一室を引き払ってご自宅に身を寄せた頃、彼はまだ高校1年生だった。

 しかし――。
 6年も経てば成人を迎え、今ではすっかりと子ども達のお兄ちゃんとして慕われている。

「涼花はいい子だから、ごめんなさいをできるよね?」
「ごめんなさいしたら、おいしいケーキをくれるおじさんのところ、連れて行ってくれる……?」

 まさか誠くんの件に関連づけて、大門寺さんに会わせてほしいと強請られるなど思いもしなかった。
 私はどう返答するべきか迷いながも、嘘を伝えたところでなんにもならないと考え直す。
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