エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 突然叔母が、一度だけ連れてきた子ども達。
 兄の性格は澄花に似ていて、涼花の顔立ちは僕の面影がある。
 もしもあの時、「もしかして」と話を振ってみたら、もっと早くに双子の父親を名乗れたと思えば、悔しくて堪らなかった。

 ――誠はあえて僕の後悔や不甲斐なさを煽り、これ以上口を開けないようにしている。

 それに負けるものかと奮起するべきだとわかっているのに、はっきりと物事を言えなかったのは――。
 彼に喧嘩を売ったところで、なんの意味もないと心のどこかで思っているからなのだろう。

「ケーキは、全部食べたかー?」
「うん……」
「ごちそうさまでした! おいしかったよ!」
「そうか。よかったな。涙は全部、ティッシュで拭けるか?」
「りょうか、つかさの涙を拭いてあげる!」
「ぼくは、りょうかの……」

 双子は先程まで大泣きしていたのが嘘のようにティッシュを手に取ると、テーブルの上に身を乗り出してお互いの頬を綺麗にし始めた。
 それを眺めていた誠は微笑ましそうに口元を綻ばせたあと、子ども達へ見つからないようにこちらへ剣呑な表情を向ける。
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