幼馴染のち恋模様
瑠奈は苦しそうに懺悔し始めた。
出会った時から瑠奈は弱みを見せない。別れる時もすんなり受け入れられたから、そんな風に思っていたとは知らなかった。
瑠奈ばかりを責められないな・・・。
「中途半端な気持ちで付き合って傷つけたこと、本当に申し訳ない」
深く頭を下げる。
顔を上げ背筋を伸ばし続ける。
「出会った時に言った言葉は本心だ。だけどそれは作品を通して見た瑠奈で、瑠奈自身を見ていたかと言えば、それは多分、違う・・・」
実際、瑠奈自身と向き合えていなかったせいでこうなっているのだから・・・。
「出会ってからも、付き合ってる時も、別れた後も・・・俺にとって瑠奈は同じ志を持つ仲間だ。不誠実に瑠奈のことを利用して、瑠奈の気持ちを弄んだこと、心から謝る。だけど、俺が想う相手は今も昔もこれからも、葵だけだ。だから、瑠奈の想いには応えられない」
瑠奈を真っ直ぐ見つめ、向き合う。
二人の間に再び沈黙が訪れ、瑠奈の鼻を啜る音だけが響く。
「幼馴染だから好きなの?」
その場に置くようにそっと投げかけられた言葉。
「幼馴染じゃなくても好きになってたよ。生まれた場所が違くても、年齢が違くても、時空を超えても・・・どこかで出会って好きになる。葵の優しくて、たまにおっちょこちょいで、弱いようで強い、そんな人柄に触れて何度でも惹かれるんだと思う」
葵の色んな表情を思い浮かべながら、慈しむように言葉を紡ぐ。
「そう・・・本当に、想い合ってるのね・・・羨ましい・・・」
瑠奈の心の声がそのまま言葉となって溢れた。
瑠奈は、葵を思い浮かべているであろう梗介の愛しげな表情を見て思った。
(私じゃこんな顔、引き出せなかったな・・・)
そこでやっと納得できた気がした。
漸く自分の中で区切りがつけられたのだと思う。
「もっと早く、こうして話していれば良かったわね・・・そうしたら、ここまでバカな真似しなかったはずなのに・・・後悔してももう遅いわね。今までのこと、本当にごめんなさい。最後にこれだけは伝えさせて・・・」
握りしめていた拳を解き、フッと微笑んで告げられる。
「梗介のことが大好きでした」
初めて、本当の瑠奈と向き合えた気がする。
「婚約の記事、公の場で訂正するわ。柚月さんにも謝らせてほしい」
瑠奈の瞳を濁らせていたものは消えていて、意思をもつ綺麗な瞳で前を見据えていた。
「梗介、向き合ってくれてありがとう」
「礼は葵に」
「そうね」
二人はしゃんとして部屋から出ていった。