あなたは狂っている
裏切り
「え!意外!」
琴美はスプーンですくったオムライスを口に運ぶ直前で言った。
「でしょぉ~?私も、もっと冷たい人かと思ってたんだよ~」
美優が夢見るような目をしている。
「でも違ったの。すごく優しくて……」
霧生冥副社長。
琴美も、その名前は知っている。
年に1度、お正月明けの全社挨拶会でしか会わないけど。
背が高くて整った顔立ち。
完璧なスーツ姿。
「聞いてる?」
「う、うん!聞いてる!」
その時――
食堂の入り口から、男女が入ってきた。
「あ……」
琴美の視線に美優が振り返る。
男性は、総務部の山本智也。
琴美の先輩で最近、告白されて付き合い始めた人だ。
女性は名前は知らないが見たことがある。
2人は、トレイを持って席を探している。
琴美はなんとなく顔を伏せた。
次に顔を上げた時には山本と女性は、琴美の視界から消えた。
「どうしたの?」
「ううん、何でも……」
琴美は食べていたオムライスにスプーンを刺した。
「山本さんと石神さんってさ」
琴美の手が止まった。
美優が内緒話をするように顔を近づけて来た。
「ここだけの話なんだけど」
美優が声を潜めた。
「あの2人、結婚間近なんだって」
琴美の心臓がドクンと嫌な音をたてた。
「え……」
「さっき会議室で人事部の子から聞いたんだ。まだ内緒らしんだけど」
「結婚?」
琴美は混乱した。
(え?私と山本さんって付き合ってるんじゃ……)
美優が真っ青になっている琴美の顔を見た。
「大丈夫?」
「う、うん」
琴美は無理矢理、笑顔を作った。
美優が心配そうに琴美を見ていた。
「琴美……本当に大丈夫?顔、真っ青だよ」
「大丈夫、大丈夫」
琴美は、オムライスをスプーンですくった。口に運ぶ。
味が、しない。
琴美の頭の中は真っ白だった。
琴美はスプーンですくったオムライスを口に運ぶ直前で言った。
「でしょぉ~?私も、もっと冷たい人かと思ってたんだよ~」
美優が夢見るような目をしている。
「でも違ったの。すごく優しくて……」
霧生冥副社長。
琴美も、その名前は知っている。
年に1度、お正月明けの全社挨拶会でしか会わないけど。
背が高くて整った顔立ち。
完璧なスーツ姿。
「聞いてる?」
「う、うん!聞いてる!」
その時――
食堂の入り口から、男女が入ってきた。
「あ……」
琴美の視線に美優が振り返る。
男性は、総務部の山本智也。
琴美の先輩で最近、告白されて付き合い始めた人だ。
女性は名前は知らないが見たことがある。
2人は、トレイを持って席を探している。
琴美はなんとなく顔を伏せた。
次に顔を上げた時には山本と女性は、琴美の視界から消えた。
「どうしたの?」
「ううん、何でも……」
琴美は食べていたオムライスにスプーンを刺した。
「山本さんと石神さんってさ」
琴美の手が止まった。
美優が内緒話をするように顔を近づけて来た。
「ここだけの話なんだけど」
美優が声を潜めた。
「あの2人、結婚間近なんだって」
琴美の心臓がドクンと嫌な音をたてた。
「え……」
「さっき会議室で人事部の子から聞いたんだ。まだ内緒らしんだけど」
「結婚?」
琴美は混乱した。
(え?私と山本さんって付き合ってるんじゃ……)
美優が真っ青になっている琴美の顔を見た。
「大丈夫?」
「う、うん」
琴美は無理矢理、笑顔を作った。
美優が心配そうに琴美を見ていた。
「琴美……本当に大丈夫?顔、真っ青だよ」
「大丈夫、大丈夫」
琴美は、オムライスをスプーンですくった。口に運ぶ。
味が、しない。
琴美の頭の中は真っ白だった。