わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
イーディスが薄ら笑いで、一歩前に出て優雅にお辞儀をした。

「皆さま、わが主人は漆の木に激突して、このような有様でございます。

ご挨拶は・・・またの機会にさせていただきます」

会場に苦笑の波が広がったが、好奇心と驚きを隠せない。

なにしろ魔女の国は、老婆の姿になっているのが普通で、本当の姿を見せないことを、皆、知っている。

それにしても、クラリスの顔の腫れ具合は・・・あまりにも衝撃的な登場といえよう。

アンバーはクラリスの様子を見て、痛々しいと感じた。

なぜ使い魔がいるのに、主人の面倒を見ないのか?

「それでは失礼いたします」

イーディスはまたもや優雅にお辞儀をすると、クラリスの手を取り、部屋から出ようとした。

「大丈夫ですか?腫れがひどいわ。手当をしましょうね?」

アンバーの使い魔であるミエルが、急いでクラリスのそばに駆け寄った。

イーディスがミエルの顔を、穴のあくほど見つめた。

それは恋に落ちた瞬間だった。

イーディスはクラリスと同じくらい赤くなった。いや、自分の髪の毛と同じくらいか・・

「大丈夫です。こいつは自分で勝手にうるしに触っただけですから。
それに薬草もあるし・・・」

ミエルは心配げに、クラリスの顔をのぞきこんだ。

「でも、すぐ冷やさないと。氷をお持ちしましょうね」

イーディスの声が裏返った。

「ああ、ありがとうございます。
ええと、あなたの名前は・・」

「ミエルです。アンバー様にお仕えしております」

ミエルは少し笑顔を見せると、スカートを翻し、軽やかに立ち去った。

イーディスは、その後ろ姿をずっと見ていたので、クラリスは上着のすそを引っ張った。

「勝手に触ったなんて、言わないで。うちとこの国との漆の葉っぱの違いを、観察していただけなんだから」

クラリスが不満げに言い

「それに、一応主人なんだから
<こいつ>って言わないでくれる?!」

イーディスはその言葉をまるっきり無視して、ため息をついた。

「彼女、ミエルっていうのか・・・・」
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