わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
かたやクラリスは空中で足をブラブラさせているだけで、なにもしない。

「なぜっ?!今なら攻撃のチャンスなのに・・・」

アンバーは思わず拳を握った。

A国の女の子は頼みの綱のライオンが戻って来ないので、泣きそうに顔をゆがめている。

クラリスは女の子の前に降り立つと、ニマッと笑い、スカートのポケットからキャンディーを取り出した。

「泣いちゃだめだよ」

クラリスがそう言うと、女の子の手を取り、キャンディーを一個のせた。

そのまま、ほうきにまたがり、森の方向へ飛んでいってしまった。

女の子は口をあんぐり開けているし、観客も審判も予想していない展開に戸惑いを隠せない。

しばらくして皇帝が咳払いをすると、審判が我に返ったように宣言をした。

「ふふ・・・不戦勝でA国の勝利とします。魔女の国代表は試合を放棄しましたので」

やっと戻って来たライオンだけが、同意をするように一声吠えた。

「闘う気がないのか・・・」

アンバーは森の方を見てつぶやいた。
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