わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
交流会とは・・

各国の代表である未成年者が、参加する競技会のことだ。

現在は7日間で、いろいろな種目が用意されて、試合形式になっている。

昔は単なるお茶会だったが、いつのまにか各国が親睦という名のもとに、国力を推し量る機会になっていた。

統治する次世代が集まることで、未来の統治者がどのくらい実力があるのか、客観的に見たいという思惑もあるのだろう。

どの国と友好関係を結べばよいのか、貿易は?物流は?

側近たちの間でいろいろな情報が、水面下で交錯する場でもある。

そして、未来の夫、妻を選ぶ場にもなっている。

今年の主催国はグスタフ皇国。

「派遣に当たっては、使い魔をつけなければなりません。その選定を行います」

エリーゼが指を鳴らした。

1回目、床に小さな卵が出現した。

2回目、3回目、出てくる卵のサイズがどんどん大きくなる。

6回目には、高さ1メートルほどの巨大な卵が出現した。

もう一度、指を鳴らすと、卵の表面にうっすらと数字が浮かんできた。

1から6まで、卵に番号が振られている。

再度、エリーゼが指を鳴らすと、クラリスの足元の床に30センチほどの箱が出現した。


「クラリス、箱から1枚、紙を引きなさい」

クラリスはうなずくと、1枚だけ紙を引き抜いた。

「番号は?」

エリーゼが聞くと
「6番」

クラリスが答えた瞬間に、6番以外の卵が消えた。

「クラリスにはこの6番の使い魔がつけられます。承認をお願いします」

ドン、ドン、ドン

3人の魔女は、同意の印に杖を床に打ち付けた。

「それでは会議を終了します」

エリーゼが宣言したと同時に、魔女たちが消えた。

いや、帰っていった。

そして大広間には、エリーゼとクラリス、6の数字が書いてある、どでかい卵が残った。
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