わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
池のほとりでの対決
<池のほとりでの対決>
空はどこまでも青い。
森のほうから小鳥がさえずり、時折、風が木々の枝を揺らして、葉擦れの音を奏でるのが聞こえる。
アンバーは近道をしようと、手入れがされていない植え込みに入り込んだ。
ニャー、ニャー、ミュー、ミュー・・・
猫の鳴き声がするほうを見ると、クラリスは池のほとりで踊っていた。
猫たちと一緒に。
その指先は、柳のようにしなやかで軽やかに動く。
何の音もしないのに・・・
木々も指先の動きに合わせてざわめく。
猫たちの長いしっぽも、短いしっぽもゆらゆら揺れる。
いつのまにか風が吹き、葉や花びらがくるくるとらせんを描き舞い落ちてきた。
クラリスが、その渦の中でトンと跳ねると、猫たちは二本足で立って、輪になって手をつないだ。
スキップをして、右に、左に小さなジャンプ。
ステップ、ステップ。
何かの音楽に合わせているようで、クラリスは楽しそうに、声を出して笑っていた。
アンバーは・・・立ちすくんで見ていた。
これ以上入ってはいけない場所、この先は魔法の世界で、夢をみているようだ。